塾長日記

塾長日記【4月9日】子供が家を出る、ということ

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こんにちは、塾長の大久保です。

 

毎年、合格者の保護者の方からこんなラインをいただきます。

 

「こんにちは、大久保先生。お世話になっております。大学に合格してからも、多くのアドバイスをありがとうございます。長男ではじめてのことですので、何もわからないところのアドバイスでしたので、助かりました。ありがとうございました。さて、お恥ずかしい話なのですが、娘が2日に家を出ていきます。そのときに、どんな顔をして「行ってらっしゃい。」を言えばわかりません。まだまだ未熟な娘が、一人暮らしをできるのか、東京の大都会でやっていけるのか本当に本当に心配です。どうすればいいのでしょうか。」

 

今年も、多くの生徒が合格し塾を旅立っていきました。

実家から大学へ通う生徒もいますが、

家を出て大阪を離れ、一人暮らしや寮へ入り大学生活を始める生徒も少なくありません。

 

保護者の方が心配されるお気持ちもわかります。

一人で部屋を片付けることができない、一人で起きることができない、など、いろんな課題を抱えたままで家を出て、一人で暮らしながら大学生活を歩めるのだろうか・・・

それを横で見ていた保護者の方からすると、心配しかないですよね笑。

 

さて、数学の授業の話ですが

数学の「解法」をいつまでも教えているだけでは、いつまでたっても数学ができるようにはなりません。それは、どれだけ難しい問題の解法や考え方を授業で教え続けても、です。

なぜでしょうか。

 

それは、生徒が自分で考えないからです、巷にあるよくある授業ですが一方的なトップダウンの授業では「自分で考えること」をしません。言われた公式や解法を受け入れるだけで、「なぜその解法をするのだろう」ということを考えないのです。しかし、入試本番では、見たことのない問題に対して、解決する方法を自分で考えなければいけません。

だから、僕の個別指導での授業では

「この式を見て、何を思う?」 「問題文を読んで、何を感じる?」

という議論を積極的に行います。入試本番、自分で発想する練習をさせる、つまり「自分で考える」ことを積極的に取り入れます。

よくある、「授業はわかるのに問題は自分で解けない」という悩んでる受験生は、この問題に陥っていることが多いのです。

 

これと、同じだと僕は思います。

 

未熟だから家を出せない、のではなく完成されていない、未熟だからこそ、家を出て一人で生活させる意味があるのではないでしょうか。

もちろん、未熟であるがゆえに、失敗もするでしょう、苦労することでしょう。

そのとき、子供たちは「どうすればいいのかな」と考えます。

自分で対処の方法を考えます。

この、「自分で考える」ということが、成長する一番の方法なのです。生活のこと、大学のこと、人間関係のこと、将来のこと、いろんなことで悩み、苦悩するでしょう。

そのときに、自分でしっかり考えます。

未熟だからこそ、自分で考えることが大事であり、一人で歩ませることに意味があるのだと思います。

たくさん失敗させましょう。たくさん悩ませましょう。そこで、自分でしっかり考えさせ、どのようにすべきなのか決め、歩ませましょう。

でも、きっと、また失敗します。それでも、いいではないですか。

また、自分で考えさせればいいのです。

 

 

そして、家を出て大学生活をしている生徒が僕に必ずいうのが「実家はなにもしなくても、ごはんも出てくるし、洗濯もしてもらえた。こんなありがたいことはない。」ということです。つまり、家を出て一人で全てしてみるからこそ、その大変さに気が付きます。

だからこそ、それを毎日してもらえてきた実家に「ありがとう」の気持ちを感じるのです。

 

これまで、それが当然と思っていたことに、それが当然ではないことに気が付く、そしてこのとき「感謝の気持ち」が生まれる。

これこそ、家を出ることの大きな意味の一つなのです。

 

僕は、保護者の方に毎年、同じことを申し上げます。

 

「お母さんや、お父さんの影がなくなり、ひとりで考えなければいけないときに、子供は本当の成長をするのだと思います。どうか、子どものためだと思って、笑顔で「行ってらっしゃい。」を言ってあげてください。」と。

 

数学が出来ることなんかより、子どもが大切な成長をする機会なのだと思います。

保護者の皆さん、頑張ってください!

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