塾長の大久保です
このお手紙の「塾長」って
僕ではありません
写真の
座っている白髪の男性は
じつは
僕の父です
70歳になりました
父は
大阪大学大学院工学研究科博士課程を
卒業後
自分の塾を創りました
若かりし頃の父と
若かりし頃の僕です
父は、
自分の創った塾で
多くの生徒を育てました
母は、
僕が受験生の時に他界しましたので
それまで父は
今は亡き母と力を合わせて
塾の生徒を
必死に育ててきました
生徒が
お腹がすいたと言えば
授業の途中でも
自腹でお弁当を食べさせて
生徒が親とけんかをして
家に帰りたくないと言えば
どれだけ時間をかけてでも
生徒の話を聞いてあげていました
生徒たちが
部活で試合に出ると言えば
差し入れをたくさん持って
生徒の家族と
試合会場まで行き
一緒に応援をすることも
少なくありませんでした
根っから
子供が好きで
子供に勉強を教えるのが
好きでした
その生徒さんたちが
大人になり
結婚をされて
生徒さんたちに子供さんが生まれ
じつは
その子供さんたちを
また父が教えていました
つまり
生徒さんの子供まで
父が教えてきたことになります
生徒の子供も
生徒なんです
だから
父の塾は
宣伝をしたことがないのです
生徒は全員
生徒の子供ばかりでした
地元の公立中学校や
私立高校には
父を知っている人も多く
許可なく
職員室に入っていくという父でした
そんな父が
一昨年
塾の授業中に倒れました
検査の結果
ステージ4の
リンパの癌とわかりました
そのときの授業の生徒は
親が全員、元生徒ですので
すぐに親に連絡し
救急車を呼んでくれました
一時は
絶望的な状態でしたが
しかし、父は
奇跡的に回復をしました
(じつはそのとき
自信塾の保護者の方で
お医者様方には大変お世話になりました
なかには
大学の教授というお立場が
あるにも関わらず
本当に良くしてくださいました
本当にお世話になりました
本当に本当にありがとうございました)
がんを患い
回復しましたが
昔のようには動くことができず
塾は閉めることになりました
父は今
実家でのんびり過ごしています
今でも
昔の生徒たちが
僕の実家に来てくれて
父を
「塾長」「塾長」と呼んでくださって
話をしに来てくれます
父の生徒さんたちが
お医者さんや
教師や
大変立派になっていて
そんな大人の方々からいまだに
「塾長、聞いて!」と言われている父は
本当に幸せそうです
自分の生徒の話を
しているときの父は
本当に楽しそうで
本当に幸せそうなのです
ただ、
完璧な教育者だったかと言えば
そうでもなく
自分の家族のことは置いといて
自分の塾のこと
自分の生徒のこと
ばかりをして
母や家族を泣かせたことも
少なくありませんでした
そんな父を見て、
僕は若いころ
息子として、
「ひどい父親だ、
自分の塾と自分の家族どっちが大事なんだ」
と憤ることもありました
だけど
今の父が、
僕よりも年上の
昔の生徒たちに囲まれて
楽しそうにしている姿を見ると
もうなんていうか、、
息子として
父が大きすぎて
とても僕なんかでは
かなわないと思うのです
息子として
父に対していろんなことを
思ってきましたが
70歳の父を
息子として
塾を経営する者として
心から尊敬しています
こう書くと失礼かもしれませんが
小さな小さな教室で
父がしてきた塾は
多くの子供の心に
大切なものを植えて
育ててきたのだと思うのです
上の写真が
全てを物語っていると
思います
お父さん
ゆっくり好きなことをして
過ごしてください
あなたがしてきたことは
生徒さんたちに
しっかりと根付いていると
思います
息子としても
塾長としても
心から尊敬しています
今では
あなたが
家族を泣かせてきたことさえも
尊敬する理由のひとつです
塾長のあなたの息子も
また塾長になりました
その塾長の息子は
塾長になるのでしょうか・・・・・
敬老の日なので
父のことを
書いてみました
お付き合いありがとうございました