塾長の大久保です
去年のある日、
とある生徒から
突然、
僕のスマホに電話がかかってきました
電話に出たものの
涙を流す音と
吹田駅のホームの音しか
聞こえませんでした
その女子高生は
言葉をはっきりと言えないほど
涙を流して
僕に電話をしてきたのです
家で
母親から
棒で殴られたり
信じられないような言葉の
罵声を浴びせられたり
そんな日々を
幼いころから送ってきた彼女
その日も
吹田駅に行く前に
家で母親から
暴力を振るわれて
心がどうしようもなくなって
僕に電話をしてきたのでした
他の家のことを
知らないから
それが当然だと思い
幼いころから
じっと耐え続けてきた彼女
もう、
生きていたくない
自分が死ねば
母親は
後悔してくれるだろうか
そんなことを
電話で僕に伝えてきました
「とりあえず、
上本町校に俺おるからおいで
話きいたるから、な!」
これまでの虐待のこと
彼女の心の傷は
相当なものでした
「全て自分が悪いんだ」
そう思って
母親から暴力を振るわれることも
我慢してきました
僕は、本当に
いたたまれない気持ちに
なりました
彼女に伝えました
「お前は、何も悪くない」
「モノで叩かれること
手を上げられること
もう我慢しなくてもいい」
しつけの一環で
親が子供に手を上げることは
けして
悪いことばかりではない
僕はそう思います
でも
そう思っている僕ですが
それでも
その母親の行動は
異常極まりないものでした
僕は
彼女に言葉を贈り続けました
あなたは何も悪くない
あなたはそのままでいい
あなたは自分を責めなくていい
あなたは本当は優しくていい子なんだ
あなたは無限の可能性があるんだ
僕は、
言葉を送り続けることと
数学の成績を上げることで
彼女の
ボロボロになった自己肯定感を
育てることを決意しました
ときどき
今でもその彼女は
フラッシュバックすることが
あります
そのたびに
僕は
言葉を送り続けます
きっと彼女は
その心の傷を
一生、抱えなければいけない
あれから
もう1年になります
定期テストでさえ
クラスの中位ぐらいだった彼女は
全国模試で
学年トップレベルの数学の
成績にまで成長しました
数学の教師なって
多くの子供を救いたい
そう決意して
彼女は数学教師になるべく
教育大学を志望しています
彼女は
人の心がわかる
心の優しい人間です
彼女は
苦しんでいる人を
自分の都合で見捨てない
手を差し伸べることのできる
貢献のできる人間です
僕の生徒で
数学教師として
活躍しているやつは
かなりたくさんいますが
彼女は
そのなかでも
特に
「救いの出来る教師」になれると思います
彼女が
どういう理由で
過去の心の傷を昇華しているのかは
彼女にしかわかりません
でも
彼女が教師になったとき
彼女にしか見えない視野があって
彼女にしかわからない感覚があって
多くの子供を救える
教師になれると思います
僕は応援しています